クールな同期が私だけに見せる顔
「晴夏……」
「だから、何なのよ」
省吾は、頭をぶるっと振って、
「ああ、もうっ」って言いながら、
でっかいため息をつく。
「お前、もう少し何とかならないか?」
何とか、ならないか?
彼が言うのも、最もだ。
二日酔いだし、昨日は多分、酔ったままベッドに倒れ込んでる。
コンタクトは外してるみたいだけれど、そのほかの身なりを気にした様子はない。
そんな時を見計らって、わざわざ私を責める気?
何とかしろですって?
それは、あまりにも失礼ではないか。
そんなこと、言わなくても。
ちょっと身なりを整えたくらいで、
どうにもならないのは、私も心得ている。
省吾と付き合うような女の子は、ちゃんとこういう時のこと。
終わった後のことまで考えてるんだろう。
比べられてるの?なんか、腹立つ。
「省吾、私にまで、あんたの女性の好みを押し付けたいの?」
「あのなあ、好み以前だぞ。
晴夏となんて……ありえないよなあ。
まったくだ。晴夏とだなんて。
不思議だよな。
俺、どうかしたのかな。好みが180度変わったのか。
普通なら晴夏みたいにがさつなの、あり得ないのに。どうしてだろうな」
散々な、いい方だ。
「あんた、朝から、私を怒らせたいわけ?」
「違うよ。お前って、
本当ひでえ顔してんな、バーカ」
彼が、頬に手を添えてきたと思ったら、
首を少しひねって顔を寄せて来た。
えっ?
と思った時には、唇が軽く触れあった。
「照れるなよ。かわいい……」