クールな同期が私だけに見せる顔


居酒屋で咲良と合流し、ビールジョッキで乾杯した。


咲良には、省吾と付き合うことになったと軽く報告した。

「ふ~ん、やっぱ、そうなったんだ」と彼女は言った。

咲良は、同じ年と言っても私と違って落ち着いている。

省吾と二人で手探りの状態でも、彼女なら客観的に状況が見えている感じがする。

省吾との間にあったことを全部話しても、咲良は全然、驚かなかった。

感想は?っと聞くと、

彼女は「やっとくっついたか」と短く返って来た。

「やっとって。前からくっつくみたいに言わないで」

「やっとって言う、レベルだと思うよ。私の見立てでは、多分」

いくら、物が見えてる咲良でも分からないことだってあるだろう。

彼女がいつも正しいとは言えない。


私は、ここ最近の省吾の行動を口にした。



「帰りたくなくなるっていって、ずっと入り浸ってる?」
と私が言うと、咲良は驚いた。

「ほんとなの、それ」

「うん。省吾の家の方が会社に近いんだけど
『今からそっちに行くから』って毎日のように連絡がくる」

こっちも、時間になると何度か、携帯を確認するようになってた。

我ながら、アホだと思うけど。

何にも言ってきてないだろうかと、気になってる。

今日はおとなしく家で過ごしてるのかな。
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