クールな同期が私だけに見せる顔


「なに、それ?」

咲良も省吾の事、良く知ってるけれど、省吾が女の子に入れ込む奴じゃないってこと。
そんなこと、よく知っている。

「まあ、そのうち飽きると思ってるけど」

そうだった。
咲良と会えばそんな話になるって分かってた。そういう話をしたかった。

物が見えない当事者の話じゃなくて。他人の目から見た客観的な意見。

それが聞きたかった。


「省吾、晴夏にはずっと飽きなかったりして」

咲良が意味ありげにほほ笑む。

私は、ため息をつく。


「それで、あいつなんて言ってるの?」

咲良の言ってる意味は分かる。でも、言わない。

白状して、悲惨な結果になったら悲しむのは私だ。


私はあいまいに微笑む。

咲良が、白状しろと催促する。

将来の事、省吾がどう思ってるのか聞いた?って言う事だ。

やっぱり、省吾がいたら何も話せなかった。


「なにも。付き合ってすぐだし。そんな話してないよ」


「そうだね。晴夏わかってると思うけど。あいつ独身主義だよ」

「うん。分かってる」

わかってる。省吾のことは、咲良よりも。

あいつ、誰と付き合っても短い間だったし、その先にある結婚なんて、全然考えてないだろう。


期限を区切った方がいいんだろうな。

ずるずる長引かないように。
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