クールな同期が私だけに見せる顔


「でもさ、取りあえずはおめでとう。付き合うようになって良かったじゃん」
咲良、笑ってくれる。

「良かったって、何でよ」

彼との付き合いだって、何日続くか分からないけど。

このまま付き合うことなんて、あり得ないって思ってたから、短い付き合いでも文句は言わない。

それを分かってて省吾と付き合うんだから。


「晴夏ずっと省吾の事好きだったからね」

「ずっとって、何よ」
私は、咳払いした。

仮にも、省吾とのことがある前、私は別の人とお付き合いしていた。

それを認めれば、俊介がいるのに省吾のことが好きだったてことになる。


「うまく隠してたと思ってた?」

「私、俊介さんとちゃんと付き合ってたよ」

「そうだね。でも、彼の転勤にはついて行かなかった」

「仕事辞めたくなかったもん」

「ふーん。そう」

咲良が遠慮なく言う。


「好きだっていうか」

咲良は意地悪だ。

いきなりそんな語と言い出すから、泣きたくなる。

「タイミングだって。そんな、省吾の事、何年も思い続けてきた人みたいに言わないでよ。
なんだかんだ言って、省吾っていいやつだし。私だって、いい加減じゃなくて俊介さんと、ちゃんと付き合ってた人いたし」

「そうだったね」

「そうだよ」

私たちは、ビールをお代わりする。


「俊介さん、元気?」
咲良ったら、もう。

この人は、不意打ちばっかりする。

咲良は面白そうに笑っている。


「元気だと思う。最近話してないからわからないけど」

「連絡とってないの?」

咲良が私の目を見る。

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