クールな同期が私だけに見せる顔



ほろ酔い気分で家路につく。

今日は、どうしてるんだろうな。省吾は。

部屋の前まで来て驚いた。

ドアの前に、誰かいる。見慣れたシルエット。

近づく前に誰か分かった。

とても、彼が家の前で待ってるなんて想像できなかった。



「どうして、ここに?何でいるの?」動揺して冷たく言ってしまった。

結構、遅い時間だったのに。

遅い時間になって、少しは涼しくなったけど。

まだ、外で待ってるにはいい季節じゃない。

待っててくれて、死ぬほど嬉しかったのに。



「何でって、恋人の帰りを待ってちゃ悪いのか?」

彼がこっちに近づいてくる。


「何言ってるの?こんなところで、待ってることないのに」


「こんなところに来たのは、ついさっきの事だよ。
それまで、ファミリーレストランにいたから」

「待ってっるって、電話くれればいいのに」
私は、後ずさってどうしようか考える。

「楽しい友人との時間を邪魔しちゃいけないだろう?
それに、早く帰ってこいなんて言ったら、みみっちいじゃないか」

「何言ってるんだか」


「暑いから、早く入れてくれ」
鍵をよこせと手を出してくる。

彼は、私が持っていた鍵を奪ってドアを開ける。


「ちょっと、何、勝手に入っていくの」

「お前、付き合ってる男を拒否するのか?」

「いきなり訪ねて来るような非常識な奴、部屋に入れてやることないわ」

「うそ、マジか。ここまで来たのに、入れてくれないの?」

「まったく」

「晴夏、優しい愛してる」

「省吾、今日は、ちょっと待って疲れてるの」

「俺、疲れてない。仕事のストレスたまると晴夏ちゃんが欲しくてたまらなくなる」

「えっ?何それ」

「ん、そういう事だから、それと、この鍵もらうな」

なに言ってるの省吾?
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