クールな同期が私だけに見せる顔

省吾の指が、精一杯握りしめた私の指を、一本一本広げていく。

「省吾……」

キスで酔わされて、体の力が抜けて行く。



彼が軽く屈んで、私を抱きかかえた。

いつの間にか私は、ソファの上に寝かされた。

省吾が上に乗ってくる。



きつく抱きしめられ、息ができなくなる。

「省吾、苦しいって。腕の力緩めて。お願い、腕を放して」


「嫌だ、離さない。心配なんだ。酔ってる晴夏のすきに付け込むやつがいるんじゃないかって、君は、あの時と同じように……」

それで、ついてこようとしたの?

そんな心配いらないのに。

「省吾、重いって。退いて、これじゃ息ができない」

重たい彼の体から逃れようとして、身をよじった。


エアコンの冷気が部屋に充満し、密着した省吾の体の熱も、気にならなくなる。


「嫌だ。今すぐ晴夏を抱きたい」

彼は、私の短い袖のシャツの裾を引っ張り上げて、むき出しになった肌に待ちきれない様に唇を当てていく。

彼の舌が肌に触れたところが、冷気に当たって余計にひんやりと感じる。

「晴夏、いい?」

タイトスカートの中に手を滑り込ませると、余計な衣類をはぎ取り、私の上に覆いかぶさって彼は、思いを遂げた。



フローリングの床に、チャリンと何か落ちる音がした。


けれど私は、自分に向けられた省吾の欲望から、身を守るのに必死だった。

落とし物を探すことまでは、とても気が回らなかった。

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