クールな同期が私だけに見せる顔

なに、今の……何が起こったの?
かわいい?
ひでえ、バカ?
バカなやつに、何でキスなんかするのよ。

省吾は、私の顔を手で挟み込み、正面に向ける。
「おい、無視するな。俺、今、
お前にキスしたんだけど」
「キス、?これの、どこがキスなのよ」

省吾が、大きな口を開けて笑い出した。

省吾にからかわれてむきになる。

「何で笑うのよ。あのね、
言っとくけど、これはキスじゃないから。
ちょっと唇に触れただけだし。
とにかく、これは、キスじゃない。ノーカウントだから」

省吾、楽しそうに言う。
「そうか、わかった。
なら……本当のキスしてやる」

私は後退った。

後退れないから、ベッドの上でじたばたした。

何?この積極的なのは。
変だ。過ちは、一度だけにすべきだ。
二度も間違うのは、過ちじゃない。

省吾が、
よりによって私に迫ろうとしてる。

何で私?
だって、こいつは女の子に困ったことないはず。

省吾が、思わせ振りに微笑みかけたら、
いくらでも、相手をして欲しいっていう女の子がいる。

それなのに、なんで私に?
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