フラワーガーデン【アリシア編】
えっ?
何、これ……。

どういうことなの?







何も……無い。







膝が折れ、私はその場にへたりこんでしまった。

部屋にはジョージどころか、彼のタンスも机も何もかもが無くなってて……。

ガラーンとした室内は、まるで初めからジョージがこの家に存在などしなかったかのように、チリひとつさえ落ちていなくて……。

「嘘でしょう」

どういうことなの?

ジョージの部屋から飛び出すと、部屋と言う部屋の扉を片っ端から開け始める。

「ジョージ!ジョージ、どこ?」

いない。
この部屋にもいないわ。
この部屋も……
この部屋も……
この部屋も……

どこにも、いない。

「アリシア様、ジョージ様はもうここにはいらっしゃいません」

「どういうことなの!?」

沈痛な面持ちで俯いているバトラーに詰め寄る。

「……もう、ジョージ様はこのお屋敷にはお戻りにはなりません」

「だからどういうことなの!!」

「それは……」

言葉に詰まるバトラーに詰め寄っていると、女中頭のノラが背後から私の腕をいきなりむんずと引っ張る。
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