フラワーガーデン【アリシア編】
そんな私の願いが届いたのか、幾つもの窓が一斉に開き、たくさんの人が顔を覗かせる。

「何だ?何だ?」

「馬に乗った女の子が汽車と並走してるぞ」


あああん、もうっっっ!!!

こんなにいっぱい窓が開いちゃったら、ジョージがどこにいるか分かんなくなっちゃうじゃない!!!


そんな絶望感と焦りに囚われながら、猛スピードで汽車に併走していると、少し前の方の窓が勢い良く開く。


「アリシア!お前、何やってんだよ!
危ないだろ!止めろ!止めるんだ!
汽車に巻き込まれるぞ!!」


丁度その時、汽車は急なカーブに差し掛かり、ポールの言ったとおりスピードを落とし始める。



「ジョージ!!」


涙がみるみる溢れ、ジョージの姿が歪んで段々見えなくなる。


言いたい事だってあり過ぎるくらいあるのに……

胸がいっぱいで言葉が喉につかえてしまう。



「ジョー……ジ!これを」



私はロザリオの鎖を引き千切ると手綱を繰りながら、懸命に手を伸ばしジョージへと手渡そうとがんばる。


ジョージも身を乗り出して手を伸ばし、なんとか掴んだロザリオをしっかり握り締めると微笑んだ。

< 127 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop