フラワーガーデン【アリシア編】
先生は黙って聞いてくれた。
私達兄妹がこの家に来た事、そして引き離された事を、私はなぜかこの人にだけは話してしまっていた。
先生は夜空を仰ぐと、優しい目で私に問い掛ける。
「そう……か。それで、君はこれからどうしたい?」
私は言葉を失う。
「こう生きなくてはならない」と言う人はいても、先生のように、私の意志を問う人は初めてだったから……。
だからとても驚いた。
「女は男に傅き、その意志に従って生きていくものだ」
そうおじい様や大人たちに教わってきた私には、先生の言葉はとても新鮮な驚きだった。
「女も男も関係ない。君がどう生きたいか、それが何よりも大切だよ。僕は君の本当の気持ちを知りたいし、それ実行するための助力を惜しまない」
私は、彼の黒い瞳に導かれるように迷わず、ジョージに会いたいという自分の気持ちを正直に伝えた。
「会わせてあげようか」
「えっ?」
「君が本当にそうしたいというのなら、僕が連れて行ってあげるよ」
「行きたいわ。でも……」
「決まり。じゃ、詳細は……」
「やっぱり、ダメ。私1人で行くわ。先生に迷惑を掛けられないもの」
「迷惑だなんて思ってないよ」
「だけど……」
「誕生日のプレゼントは君が心から望んでいるものをあげたいからね。大丈夫、必ず上手く行くよ」
不思議だわ。
この人がそう言うと本当に大丈夫な気がしてくる。
「さぁ、とりあえず冷えて来たから中に戻ろう。
アリシア、もう一曲、お相手願えますか?」
「ええ、いいわ」
フジエダ先生の差し延べる温かい手に何の迷いも無く私は手を差し出し、再びワルツの輪の中に入っていった。
私達兄妹がこの家に来た事、そして引き離された事を、私はなぜかこの人にだけは話してしまっていた。
先生は夜空を仰ぐと、優しい目で私に問い掛ける。
「そう……か。それで、君はこれからどうしたい?」
私は言葉を失う。
「こう生きなくてはならない」と言う人はいても、先生のように、私の意志を問う人は初めてだったから……。
だからとても驚いた。
「女は男に傅き、その意志に従って生きていくものだ」
そうおじい様や大人たちに教わってきた私には、先生の言葉はとても新鮮な驚きだった。
「女も男も関係ない。君がどう生きたいか、それが何よりも大切だよ。僕は君の本当の気持ちを知りたいし、それ実行するための助力を惜しまない」
私は、彼の黒い瞳に導かれるように迷わず、ジョージに会いたいという自分の気持ちを正直に伝えた。
「会わせてあげようか」
「えっ?」
「君が本当にそうしたいというのなら、僕が連れて行ってあげるよ」
「行きたいわ。でも……」
「決まり。じゃ、詳細は……」
「やっぱり、ダメ。私1人で行くわ。先生に迷惑を掛けられないもの」
「迷惑だなんて思ってないよ」
「だけど……」
「誕生日のプレゼントは君が心から望んでいるものをあげたいからね。大丈夫、必ず上手く行くよ」
不思議だわ。
この人がそう言うと本当に大丈夫な気がしてくる。
「さぁ、とりあえず冷えて来たから中に戻ろう。
アリシア、もう一曲、お相手願えますか?」
「ええ、いいわ」
フジエダ先生の差し延べる温かい手に何の迷いも無く私は手を差し出し、再びワルツの輪の中に入っていった。