フラワーガーデン【アリシア編】
なんとか無事プラムを飲み下しきり、ぜぃぜぃと肩で息をしていると、昨日の夜のことが嘘のようにエドは私に微笑み掛ける。

「今日、僕はこれから商用で出掛けなくてはならない。お会いできるのは来週です」

エドの言葉にほっとするような、淋しいような複雑な想いが交錯する。

エドと目線が合い、慌てて逸らす。


「帰ったらいっぱい愛してさしあげますから」


カチャカチャと食器を下げる音に紛れて、ヒソヒソ声で耳元に囁くエドの足を私は思いっきり踏み潰す。


食事を終え、出掛けるエドを見送りに一緒に玄関まで出た時、丁度一台の車が門を通って入ってくるところだった。

車はそのまま玄関に横付けされ、中からは赤みの掛かった栗色の髪を神経質に掻き揚げながら、20代前半ぐらいの一人の男の人が車から降りてくる。


「エドワードおじさん。お久し振りです」


階段を下りていくエドに、その男は笑いながら手を差し出す。



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