フラワーガーデン【アリシア編】
「グレアム！君は中国にいたはずでは」

「今朝、戻りました。おじさんが、こちらにいると母から聞いたので駅で待たずにお迎えに上がりました」


彼はエドに笑いかけながら、初めて私の存在に気付いたようで手を差し伸べる。


「初めまして。僕はグレアム・マッカーシーと言います。昨日のパーティーには出席できず、申し訳ありませんでした」


彼のキスを手の甲に受けながら、説明しようの無い漠然とした不快感を抱く。


「アリシア。この子は僕の姉の子で……」

「おじさん、時間がありませんから、今後のこととか車の中で話しませんか」


グレアムは忙しなく髪を撫で付けながらエドの説明を遮る。


そして、肩越しに親指で後方に止めてある車を指すと、何の感情も込められていない笑みを口の端に浮かべ、足早に車に戻って行く。


「アリシア、すまない。では、ここで……」


私の頬にキスするエドの表情がいつに無く緊張しているのを私は感じ取る。

グレアム……

何と言う陰鬱な男なのかしら……。


私はこの男に不吉なものを感じつつ、エドを乗せた車が視界から消えるまで見送っていた。





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