フラワーガーデン【アリシア編】
え?
なんでこのリアクション?

……あ。
間違えちゃったわ。

『せ、んせい……。ごめんなさい。日本語、間違えました。
私、先生に“腹を割って話がしたいことがある”と言いたくて……』

「なんだ……脅かさないでください。僕はてっきり……」

先生が真っ赤になった顔を隠すようにその場にしゃがみこむ。

優しい先生。

私をジョージのもとに送り届けたら先生はどうなってしまうの?
今の今まで、自分のことしか考えてなかったけど……

『私をジョージのところに連れて行ったことがばれたら、先生は責任とってハラキリしちゃうの?』

「ぶっ!!」

突然、先生は吹きだし、屈んでいた体が揺れる。
……かと思うと、お腹を抱えて大笑いしている。

「何?それ?」

「ジョージが言ってたわ。日本人はとても責任感が強くて、ミスをするとお腹を切って謝罪する国民だって。
『ハラキリ』とか『セップク』とかして責任を取るんだよって。先生にそんなことさせられないわ。……どうしたの?先生?」

「いや……もう、なんか笑い過ぎて涙が……」

先生は黒縁眼鏡を外すと、肩で笑いながら袖で涙を拭っている。

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