フラワーガーデン【アリシア編】
「君はジョージに“担がれた”んだよ、アリシア。ひどい兄さんだ」

『……でも、そんな彼を愛してるの。一人の男性として』


先生の顔から笑みが消える。


『ちゃんと、そのことを“腹を割って”先生に話しておきたかったの……』



長い沈黙の後、先生は徐に立ち上がり、テーブルに眼鏡を置くと再度袖で涙を拭った。



「そう……。そう……だったのか……」

「私、一人でジョージの後を追うわ」

「いや。僕も行くよ」

「だけど……」

「女の子の一人旅は危ない。ましてや、君は世間を知らなさ過ぎる」

「先生の言うとおりかもしれないけど。でも、そんなに危険だったら、なおさら、先生を巻き込めない。だから、今回の計画は無かった事にして下さい」


先生は暫く無言で考え込んでいた。




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