フラワーガーデン【アリシア編】
「君がどうしても独りで行きたいといっても、さっきのようなことがある。
だから僕も一緒に行く。これは譲れない」

向かい合い座る先生の真剣な眼差しに応えあぐねていると、次の瞬間、ドアが開き、聞き覚えのある声と足音が車内に響く。

「母もエドおじさんに会いたがっているのに!」
「それが、なかなか忙しくてすまない」
「婚約している暇があったら、うちに遊びに来て下さいよ」

私は「あっ!」と小さく叫ぶと、口を押さえ身を屈めた。

エドワードとグレアム、どうしてここに……

どうしよう。

「アリシア。顔色が真っ青だ。どうした?」
「エドが、来るわ」

先生はシートからひょいと顔を出し、エドが歩いてくる方向を見る。

「まずいな……」

エドワードとグレアムは、話しながら私達の直ぐ近くまで迫ってきている。

何てことしちゃったんだろう。

自分の我儘に先生を巻き込むんじゃなかった。

こんなところ見咎められれば、先生の立場は間違いなく悪くなる。

一歩一歩近づいて来るエド達を目の端で見ながら、私は心の底から後悔した。




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