フラワーガーデン【アリシア編】
カーブを抜けた汽車はぐんぐん速度を上げていく。
額に、手に、汗が滲む。

無理かもしれない……
せっかくのチャンスを逃したという思いが涙となって頬を伝う。

やがて、真っ暗なトンネルの中を、轟音を立てながら汽車は進む。

一旦、窓を閉め、冷静になった私達はシートに体を沈める。

先生は私の前に、さっきの駅で下車して買ったと言うジュースを差し出す。


「ごめん、アリシア。この計画、僕が強引過ぎた」


私は首を横に振る。

私一人だったら、きっととっくに挫けてたかもしれない。

零れそうになる涙を拭っていると先生がリュックを下ろし、中からタオルを出そうとしてくれる。

その時、リュックの中からナイフが滑り落ち、床の上でクルクルと回る。

「これは?」
「あ……それはサバイバルナイフ」

先生は、「有り難う」と私からサバイバルナイフを受け取ろうと手を伸ばす。
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