フラワーガーデン【アリシア編】
小さな駅には5~6人の警官がいて、降りていく乗客を一人一人チェックしている。

そして、他にも数人の警官が汽車の中にも乗り込んできていた。


「先生……」


先生はリュックからGジャンを取り出すと、私に着せ、帽子を頭に被せる。


「大丈夫だよ」

「うん」


私達は緊張しながら、敢えて平静を装い改札口に向かう。

後少しで逃げ切れる。

改札口の駅員に切符を渡そうとしたところで、一人の警官に呼び止められる。

「そこの君達!」

「は……い」


先生が私をかばうように振り返る。


「何か?」

「この電車に15歳位の腰まで髪のある女の子を見なかったかね。髪は金髪、瞳は碧で……」

「いえ、見ませんでした。お前、見た?」

「ぼ、僕も見ませんでした」


私は帽子のつばにちょっと手を掛けて目深に被り直す。



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