フラワーガーデン【アリシア編】
「ところで君達は何の用でどこに行く予定なのかな?」

「僕達は中国からの旅行者で、行く途中途中で下車して旅をしているところなんです」

さっきエドに見つかった時、先生が側にいなくて良かった。

警官はどうやら女の子の一人旅と言う条件で探しているらしい。

ほっとしている私と警官の目が合う。


「ほぉ。中国人?君は随分……」

「もう、良いでしょうか?僕達、急ぐんで」


先生と一緒に切符を出し、改札を抜けたところで私はあることを思い出す。

「先生、私、リュ」

言い掛けた時、後方から汽車に乗り込んだ警官が叫ぶ声がした。


「警部!リュックが網棚にありました!!!」


先生は私の背中にあるはずのリュックが無い事に気付き、ぎょっとしていた。

あのリュックには、着替えと、財布、そして切った髪を紙に包んでいた。


「逃げろ!!!」


先生は私の手を掴むと街の人込みに紛れるようにダッシュする。

街は村祭りの最中だったようで、色取り取りの綺麗なドレスで着飾った女性達が、日傘を差しながら道を埋め尽くしていた。

その中を私達は猛ダッシュで駆け抜ける。

背後に数人の警官が追い駆けて来ていたけど、人混みに紛れ込むことに成功し、何とか追っ手を撒くことができた。

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