フラワーガーデン【アリシア編】
カーテンの隙間から幾筋も差し込む光と車が滑り込んで来る音に動揺しながら、先生の影に並び窓の外を見る。

バタン、バタンと音を立てながら、車の中から数人の男達が降りて来る。

あの影は……。

「エドワード！」


月光に浮かび上がるエドワードの顔は、緊張しているようにも怒っているようにも見える。


「アリシア、裏の勝手口から逃げよう」


先生は、ベッドの上にあるリュックを担ぐと部屋の扉を開け、廊下に出る。

体勢を低くして、壁伝いに移動する。

だけど、廊下の両端から複数の足音がする。


「挟み撃ちにするつもりか」

「先生、もういいわ。私、やっぱり先生のこと巻き込めない」

「何を？！」

「私が行けばそれ以上の詮索はしないはずだから。それに先生は関係ないもの」

「何、言ってるんだよ！大ありだよ！」


観念して立ち上がろうとする私の肩を先生が押さえこむ。


ロビーの方からは聞き覚えのある足音が、カツーンカツーンと闇の中で響き、確実に近づいて来ている。


この足音はエド……。

もう、ダメ。



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