フラワーガーデン【アリシア編】
「おぉぉぉぉ……ぅっっ」


あまりにも痛そうなその様に、周りで見ていた男達は、自分の急所を押さえつつ縮み上がっている。


「護身術、夏期講習を甘く見ないで!」


アリシアは、小さな拳を握るとシャドウボクシングよろしくシュッシュッとそのファイティングスピリットを男達に見せつけた。


はっ……。

はははっ。

ブラボォーアリシア!

なんて果敢なお嬢様なんだ、君は……。


僕は切れた口の端から滲む血を袖で吹きながら、笑いをかみ殺す。


すごいや、君は。

初めて出会ったときから、君はまるでびっくり箱のようだったけど。

こんな風にほんの一瞬で僕の心を鷲掴みにしてしまう。



僕が誰かを守るために闘うのは、アリシア……君が初めてだった。

それにこうして、女の子に守ってもらうのも。


僕も男が怯んだ隙に、土を掴み男の目に投げ付けると、横っ面を張り倒した。






< 191 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop