フラワーガーデン【アリシア編】
それだけじゃない。

僕は『藤枝』という家に生まれ落ちた宿命といつか対峙しなくてはならない日が来る……。


「先生……」


背後から聞こえるアリシアの声に僕ははっとなり、振り向いた。


アリシアはまだ気持ち良さそうに寝ていた。




寝言、か……




僕は彼女のもとに歩み寄ると祈るようにアリシアの手を取り、そっと両手で包み込んだ。


寝言でも良いから、もう一度僕のことを呼んで欲しい。



ああ……。

君がいてくれれば、僕は何にだってなれそうな気がする。

君を守るためだったら何だってできる。

きっとどんな運命が待っていても、僕は……


君の胸の中に、ジョージが住んでいることは百も承知してる。


でも……


「……好きだよ」

えっ！

今、僕は……


心の声が思わず漏れてしまったことに自分自身が驚いているとき、ベッドの方から、
「パパ……」と呟くエリーの小さな声に、びくっとする。


ベッドから体を起こしたエリーも、つられてびくっとなって僕を見ている。


人差し指を立て、「しーっ」と口止めをすると、歩み寄って「調子はどう？」とおでこに手を当てる。


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