フラワーガーデン【アリシア編】
「ヘイワーズ氏はそんな人じゃない。
君のおじい様は、愛国者精神に満ちた人格者だ。
慈善事業にだって力を入れているし……。
それは君が一番良く知っているはずだよ」

「……そうよね。そうだわ。『巨万の富』って言うのだって……。
以前、エドが言っていたもの」


不意に彼女の口からついて出たエドワード・マッカーシーの名前に警戒する。


「へ……ぇ……。彼は何て？」

「ヘイワーズ家の多が……。いえ、何でもないわ」


アリシアは突然口をつぐむ。

エドワード・マッカーシーはどこまで、そして何をアリシアに話したのか。

だけど、『あの件』に関しては絶対言っていないはずだ。

いや、言えないはずだ。


聞けば、アリシア、君はきっと……。


僕は首を振り、その考えを打ち消した。



僕達はその日の昼には、急いで出立の荷物をまとめた。


来た時は荷物一つ無かったアリシアだったが、女達の好意によって多くのものをプレゼントされていた。

その殆どが彼女たち好みの男物の服だったけど……。



< 215 / 269 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop