フラワーガーデン【アリシア編】
翌朝、目覚めるとアシリアは僕よりも早く起きたらしく、その姿はなかった。


洗面所を覗き、リビングに顔を出すと、おかみさんが料理をしながら僕を手招きした。


「あんたと一緒にいたアルバートって子が、これをあんたにって……」


おかみさんから差し出された白い一通の封筒を見て、不吉な予感がした。


急いで部屋に戻り、アリシアの荷物を探したがなかった。


「まさか……！」


僕は慌てて封を切り手紙を読むと、急いで旅支度をした。


階段を降り、おかみさんに今までの宿泊費とチップを渡すと、旅の荷物を自転車の荷台に積んだ。
そして、サイドスタンドを蹴り上げペダルに足を掛けると、お礼の挨拶もそこそこに自転車飛び乗った。


やっぱりあの晩、アリシアは起きていたんだ。


『ごめんなさい。先生……。
今までの事、感謝しても感謝し足りない。
本当にありがとう。
だけど、先生の気持ちを知ったまま、これ以上、一緒に旅を続けるなんて私には出来ませんでした』


シャーっと回るホィールの音を聞きながら、僕はアリシアの行きそうな場所を考えた。
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