フラワーガーデン【アリシア編】
「アリシア、君独りで旅を続けるなんて無理だ」
大きく弧を描きながら広場の噴水を一巡し、突然角から現われた車を寸でのところでかわした。
ところが、自転車はバランスを崩し、僕は横滑りになりながら石畳に腕を打った。
『短い間だったけど、先生と一緒に過ごせて楽しかった』
今まで何をやってたんだ、僕は!
自分のことばかりに気を取られて、彼女の変化に気づきもしなかった。
ハンドルに手を掛け、車体を起こした。
腕に走る激痛に、思わず顔をしかめる。
その時、アリシアの嬉しそうな笑顔が目に浮かんだ。
そうだ!
多分あそこだ!
この街に来た時、彼女はこの映画館の前で売っているクレープが食べたいとしきりにダダをこねた。
「時間が無いよ。凄く並んでるし。今は、とにかく、宿を探さないと……」
僕の言葉にアリシアはむくれながら、「クレープ……食べたかったわ」と後ろ髪を引かれていた。
僕は再びペダルを漕いだ。
大きく弧を描きながら広場の噴水を一巡し、突然角から現われた車を寸でのところでかわした。
ところが、自転車はバランスを崩し、僕は横滑りになりながら石畳に腕を打った。
『短い間だったけど、先生と一緒に過ごせて楽しかった』
今まで何をやってたんだ、僕は!
自分のことばかりに気を取られて、彼女の変化に気づきもしなかった。
ハンドルに手を掛け、車体を起こした。
腕に走る激痛に、思わず顔をしかめる。
その時、アリシアの嬉しそうな笑顔が目に浮かんだ。
そうだ!
多分あそこだ!
この街に来た時、彼女はこの映画館の前で売っているクレープが食べたいとしきりにダダをこねた。
「時間が無いよ。凄く並んでるし。今は、とにかく、宿を探さないと……」
僕の言葉にアリシアはむくれながら、「クレープ……食べたかったわ」と後ろ髪を引かれていた。
僕は再びペダルを漕いだ。