フラワーガーデン【アリシア編】
「人違いじゃないかな。悪いけど、今、取り込み中だから」


僕は手を振って彼女たちを追い払い、アリシアとの打ち合わせを始めようとした。


「ちょっと、待って！実はね、さっきから君達いいなぁ～と思って見ていたの。良かったら、これから私達と一緒に遊ばない？」


なんだ……ただのナンパか。


ほっとしてそのまま、やり過ごして無視を決め込もうとした。
けど、ピンと閃く事があって思い直す。


「へぇ。実は僕も君達の事、すごくいいなと思ってたんだ。
こんな可愛いコの方から声を掛けて貰えるなんてラッキーだな」


アリシアは、飲んでいたコーヒーをぶっと噴き出し、僕はナプキンをそっとアリシアの前に差し出す。


「でも、実は今、これから用事があって……」
「え～」


女の子達の切なそうな瞳と、アリシアの安堵した瞳が視界に入る。


「代わりに、週末、会えないかな？」
「ええ～。週末～？！」


女の子達は不満に口を尖らせ、アリシアは目を尖らせる。


「ダメ？僕としては、是非、会いたいんだけど……」


僕は至極残念そうに肩を落としながら、二人にウィンクする。


「……いいわ！じゃ、週末に。絶対よ！」

「ＯＫ！嬉しいよ」


僕は営業スマイルを彼女たちに返す。


良かった。

上手くいった。


……だけど、心なしかアリシアの方から冷気を感じるんだけど……。


女の子達と週末にまたここで会う約束を取り付けると、二人は嬉しそうに手を振って去っていった。


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