フラワーガーデン【アリシア編】
僕達が見学用に広場に組まれた足場に腰を下ろして歓談をしていると、やがて楽隊が演奏を始めた。

それから程なくして、制服に身を包み、銃を掲げた学生達が続々と行進し、その姿を現した。


こんなに同じ格好の学生が一糸乱れぬ行進をされると、さすがにジョージがどこにいるのか探すのなんて不可能だと思えてくる。


僕は必死に目を凝らし、隊の中にジョージを探した。


どこにもいない。

どうやって、見つければいいんだ。


しかし、突然、アリシアは「ジョージ……」と呟くと、じっと一つの方向を凝視していた。



どこに?!



僕も慌てて彼女の目線を辿って必死で目を凝らした。

だけど、どうしてもジョージを確認する事が出来ない。

やがて、アリシアは、手を口で覆うと、涙ぐみながらかすかに何度も頷いた。


「どうしたの?」

「ジョージが、あの校舎で待ってて、って。今……目配せして……」


アリシアは僕たちの背後にある校舎を指差した。


僕はもう一度、隊列に目を凝らした。

やはり、どこにジョージがいるのか、全く分からない。


「ジョージ……」


両腕を抱きしめて喜びに震える彼女の隣で、やるせなさが込み上げて来た。





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