フラワーガーデン【アリシア編】
第8節 それでも君しか愛せない
エドワード・マッカーシーは靴のつま先で、カッカッと壁を2度蹴ると、ふっと喉元で笑った。
「まさか、あなたがこんな大それたことをするとは夢にも思いませんでしたよ。Mr.藤枝」
俯き加減だった顔を上げたマッカーシーの瞳には、明らかに怒りの焔がユラユラと揺れていた。
「アリシアがどこにいるか教えてもらえませんか?」
僕のカラカラに乾いた喉の中を、吸い込んだばかりの空気の固まりが通っていく。
「アリシアは……、ここにはいない」
途端にマッカーシーは、余裕に見せかけた微笑の仮面を剥ぎ取り、僕の胸倉を掴むと、廊下に引きずり出し壁に叩きつけ、喉元を締め上げた。
「今すぐにでも君を誘拐犯で全米に指名手配することも出来るんだぞ!」
「そうしたければ、すればいい。だけど、彼女はここにはいない」
このハッタリがどこまで彼に通用するか分からない。
でも、彼を今、アリシアに会わせる訳にはいかない。
広場からは国歌を斉唱する歌声が聞こえてきた。
まずい。
そろそろ式典が終わる。
アリシアが……
ジョージが……
後どれ位でこの校舎に来るのかわからない。
僕がちらっと廊下の窓の外に目をやった時、マッカーシーはその鋭い目を外へと向けた。
「やはり、この近くにいるようですね」
なんて勘の鋭い男なんだ。
ほんの一瞬の表情の変化で、彼は僕の思考を読んでいる。
危険だ。
一刻も早くこの男を校舎から連れ出さなくてはならない。
背中を冷たい汗が伝う。
「まさか、あなたがこんな大それたことをするとは夢にも思いませんでしたよ。Mr.藤枝」
俯き加減だった顔を上げたマッカーシーの瞳には、明らかに怒りの焔がユラユラと揺れていた。
「アリシアがどこにいるか教えてもらえませんか?」
僕のカラカラに乾いた喉の中を、吸い込んだばかりの空気の固まりが通っていく。
「アリシアは……、ここにはいない」
途端にマッカーシーは、余裕に見せかけた微笑の仮面を剥ぎ取り、僕の胸倉を掴むと、廊下に引きずり出し壁に叩きつけ、喉元を締め上げた。
「今すぐにでも君を誘拐犯で全米に指名手配することも出来るんだぞ!」
「そうしたければ、すればいい。だけど、彼女はここにはいない」
このハッタリがどこまで彼に通用するか分からない。
でも、彼を今、アリシアに会わせる訳にはいかない。
広場からは国歌を斉唱する歌声が聞こえてきた。
まずい。
そろそろ式典が終わる。
アリシアが……
ジョージが……
後どれ位でこの校舎に来るのかわからない。
僕がちらっと廊下の窓の外に目をやった時、マッカーシーはその鋭い目を外へと向けた。
「やはり、この近くにいるようですね」
なんて勘の鋭い男なんだ。
ほんの一瞬の表情の変化で、彼は僕の思考を読んでいる。
危険だ。
一刻も早くこの男を校舎から連れ出さなくてはならない。
背中を冷たい汗が伝う。