フラワーガーデン【アリシア編】
マッカーシーは僕の胸倉を掴んでいた手を乱暴に放つと、確信に満ちた足取りで辺りを見回しながら、校舎の階段を下り始めた。


「アリシアは！……アリシアは、今、ホテルで休んでいる。体調を崩して……」


マッカーシーは振り向くと、僕の目を睨み返した。

僕も彼の威嚇に負けまいと、真っ直ぐに彼を睨み返した。


「なるほど……」

マッカーシーは僕を睨みながら、腕を組み、壁に寄り掛かった。


「では、ここで待つことにしましょう」

「僕は、アリシアはホテルにいると言ったはずですが……」


僕の言葉にお構いなしで、マッカーシーはその目を外に向けた。


「君は余程僕とアリシアを会わせたくないらしい……。
君が僕をここから遠ざけようとする理由は、ひとつ。
彼女がここに来るからでしょう？」


僕はこの男を甘く見ていた。

金持ちの家系を世襲する、なんの能力もない男だとタカを括っていた。


そうこうしているうちに、閲兵式は終わり、観客達は笑いながら三々五々散っていった。


「……来たようですね」


マッカーシーは壁から体を離すと、その固かった表情を綻ばせた。




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