フラワーガーデン【アリシア編】
「随分、探しましたよ。アリシア」

いつの間にいたのか、マッカーシーの視線の先にアリシアが立ち竦んでいた。


「ごめんなさい。エドワード……」

「髪も随分、ばっさりと切ってしまって」


マッカーシーはカツーン、カツーンと足音を響かせながらアリシアの元に歩み寄ると、彼女の髪に手を忍ばせ、愛しそうに首筋を撫で、その額にキスをした。


「でも可愛らしいですよ。車を待たせてありますから、帰りましょう」


項垂れ涙ぐむアリシアの手を僕は咄嗟に掴んで引き戻した。


「せめて……せめて、ジョージが来るまで待ってくれませんか?」


マッカーシーは、さっきまでの優しい表情を一変させ、その怒りを僕にぶつけた。


「ダメだ!」


マッカーシーの激しい言葉に

射抜くような目に、僕ははっとなった。


もしかしたら、マッカーシーは知っているのか?!

2人が愛し合っていることを……。


咄嗟に見たアリシアの目が僕を避ける。

その瞬間、僕は全てを悟った。


「アリシアは、僕の妻になる女性だ。
彼女の名誉のために今回は男との……君と2人だけの旅を公表しなかったが、次は貴様を許さない」


マッカーシーは強引に彼女の手を引き戻すと、足早にその場を立ち去ろうとした。


もう、ダメなのか……。

せっかく、ここまで来たと言うのに……。



その時、項垂れながら呟くアリシアの声が聞こえた。



「エドワード、ごめんなさい。今までしてきた事も……」


アリシアの言葉にマッカーシーは、「え?!」と振り返り、その歩を止めた。


「そして、これからすること、もっ!」


次の瞬間、アリシアは勢い良く、マッカーシーの股間を蹴り上げた。




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