フラワーガーデン【アリシア編】
……そういえば、先生。

今頃、どこで何をしているのかしら。

思い返せば、先生は片時も私から離れることなく、ずっと一緒に旅をしてくれた。

こんな風に離れるのは、屋敷を出てから初めてで……。

それに先生は家庭教師をしてくれた1年間とは比べ物にならないくらい、色々な顔を私に見せてくれて……。


どんな時も、全力で私のことを守ってくれた。


そして、初めて先生の想いを知って……


「そうだよ。僕は君が好きだよ。ずっと、ずっと、前から。
たぶん、始めた出会った時から。……ごめん」

「僕はどうしても君が好きだ。君がどんなにジョージを好きでも」


だけど……


「遅くなったけど、誕生日プレゼントだよ。アリシア。
ちゃんと、君の想いを伝えるんだ。いいね」


いつだって、私の気持ちを一番に考えてくれた。


私……、おかしいわ。


大好きなジョージがすぐ側にいるのに……

先生のことが目の前をちらついて離れない。


先生のことを考えると、まるで喉に大きな重りでも飲み込んだみたいに息をするのが苦しくなる。


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