フラワーガーデン【アリシア編】
「遅いから探したぞ」

「ごめんなさい。
木苺があったからつい夢中になって摘んじゃったの。
でも、おかげでいっぱい取れたわ。見る?」


川岸のバッグに今にも溢れそうになっている木苺を指差しながら、アリシアが無邪気に笑う。


俺は川岸に向かおうとするアリシアの腕を慌てて掴む。


「ヒューバートに告白されたんだって?」


アリシアの顔からすぅっと笑みが消える。




『これからも諦めるつもりはねぇぜ。
ここまで白状したんだから協力してくれるよな、お兄様』


そうだ。

親友のあいつがあんなに冗談めかして、マジで俺に頼みごとをしたのはあれが初めてだ。


ヒューのヤツ、真剣だった。

親友だからできる限りの協力はしたい。

でも、その相手がよりによってこいつだとは……。

俺は動揺を隠すように目を伏せながら呟くように言葉を続ける。


「あいつ……マジだから。だから、お前もいい加減なこと言ってフッたりしないでちゃんと……」



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