フラワーガーデン【アリシア編】
「……何しに、来たんだよ」

「花の開く音を聞きに」


今にも咲きそうな花の側まで俺の手を引いて、アリシアは俺の横にぴったりと寄り添う。



「そろそろ『ポン!』って音を立てて開くはずよ」

「本当に鳴るのか?」

「……たぶん」



アリシアと俺は、花をじっと見つめる。



「開かないみたいだな」


アリシアは、それでも真剣な目で、「開くわ!」と花を見つめ、俺の腕を強く掴んだまま離さない。





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