フラワーガーデン【アリシア編】
一気に距離を詰められてしまった私は気まずさに下を俯く。
「呼べないわ……あなたを『エド』なんて……」
「今、呼んでくれた」
「あなたねぇ……!」
なんてお気楽な人なの?
膨れる私にエドが嬉しそうに笑みを浮かべ、その先に歩を進める。
「ああ、ここだ」
途中で折れた木の枝の先が、雨風に晒され、丸みを帯びている。
「ハウザーに腕を噛まれて慌てて登ったものの枝が折れてしまってね」
ハウザーって、あのハウザー?
屋敷で飼っている白い大型犬のことしか思いつかないけど……。
18年前なんてありえない。
「ハウザーはまだ5歳位だわ」
「今のハウザーはハウザーJr.で3代目です。
1代目のヤツは凶暴で手強くてね。
で、僕はオリヴィアに横恋慕していたハウザーに、忍び込む度に追いまわされたんです。
今にして思えば、この腕の傷も男と男の真剣勝負から出来た勲章のようなものです」
まるで少年のように「えっへん!」と言う顔をして噛まれた痕を自慢気に見せるエドを見て、私はまた笑い転げてしまう。
母さんがこの人のことを好きだったのが、何だか少しだけ分かったような気がする。
私を見つめるエドの熱い眼差しに気づき、慌てて目を逸らす。
「呼べないわ……あなたを『エド』なんて……」
「今、呼んでくれた」
「あなたねぇ……!」
なんてお気楽な人なの?
膨れる私にエドが嬉しそうに笑みを浮かべ、その先に歩を進める。
「ああ、ここだ」
途中で折れた木の枝の先が、雨風に晒され、丸みを帯びている。
「ハウザーに腕を噛まれて慌てて登ったものの枝が折れてしまってね」
ハウザーって、あのハウザー?
屋敷で飼っている白い大型犬のことしか思いつかないけど……。
18年前なんてありえない。
「ハウザーはまだ5歳位だわ」
「今のハウザーはハウザーJr.で3代目です。
1代目のヤツは凶暴で手強くてね。
で、僕はオリヴィアに横恋慕していたハウザーに、忍び込む度に追いまわされたんです。
今にして思えば、この腕の傷も男と男の真剣勝負から出来た勲章のようなものです」
まるで少年のように「えっへん!」と言う顔をして噛まれた痕を自慢気に見せるエドを見て、私はまた笑い転げてしまう。
母さんがこの人のことを好きだったのが、何だか少しだけ分かったような気がする。
私を見つめるエドの熱い眼差しに気づき、慌てて目を逸らす。