先生だって遊びたい
マンションの部屋に入ると皇輝はコーヒーを淹れてくれると雑貨屋で買ったペアーのマグカップに注いで手渡してくれる。

「有難う…」

「1年近く前かな?…今日、美鈴が見た人は義兄さんの仕事の取引先の人で一度だけ飲んで酔っ払った時に関係を持ったらしいんだ…それから頻繁に電話を掛けてくるようになって姉貴も精神的に参っちゃって俺も泊まりに行って姉貴の相談相手になったり、真尋の遊び相手になったりしてたけど家にまで来るようになったんだ…それで俺が親父に相談したら親父があのマンションを用意してくれた。親父達は海外で仕事してるから側にいてやれないから、出来たら側にいてやって欲しいと言って俺にも用意してくれたんだ」

 (それでお姉さんの隣だったんだ…)

「それで引っ越して来たばかりってお姉さん言ってたんだ?」

「あぁ先月引っ越して来た。今は義兄さんとは別居中なんだ」

「そうだったんだ…」

「今、義兄さんは自分の実家に居るはずだけど携帯電話も変えたし、会社にも実家に居ることは極一部の人しか知らせていないから彼女が義兄さんに会えなくて、どうやって調べたのか俺の所へ居場所を教えて欲しいって来たんだ」

「でも、お腹に赤ちゃんがいるって?…」

「多分嘘だと思う。そう言えば俺が教えると思ったんじゃないか?」

 (酷い!)

「そこまで…それじゃストーカーじゃない?」

「あぁ本当にそうだよ。一度は関係をもったし取引先って事もあるからな難しいんだ…今、弁護士に相談してるよ」

「お姉さん大変だったね?」

「で、美鈴のご機嫌は直ったのかな?」

「ごめん…疑ってごめんなさい」

「分かってくれたなら良いよ」と皇輝は微笑んでくれた。

「それにしても酔っていたからって言っても浮気は酷い!」

「あぁ姉貴も悩んでる。この先どうしようかって?真尋の事もあるしな…」

「そぅだね…真尋ちゃんの事考えるとね…」
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