先生だって遊びたい

「いえ……自分の未熟さに嫌気が差しただけです」

「未熟さ？俺の知り合いの医者に君の事を聞いたけど『桜はいい医者だった。患者の事を第一に考え外科医としてもいい腕を持っていた。だから辞めさせたくなかった』って言っていたよ！」

「アハハ…その人私の事買いかぶりすぎです。私そんな立派な医者じゃなかったですって！誰ですそのお医者さんは？」と苦笑いする。

「岩下先生だよ」

　（岩下先生……）

岩下先生とはＥＲの先輩で公私とも相談に乗ってくれていた人だ。

「岩下とは同じ大学でね、学部は違ったけど仲が良かったんだ。彼は今も美鈴ちゃんを気にかけているよ！戻る気はないの？」

「えーだって飲み歩く事なんて出来なくなるじゃないですか？」とふざけて見せる。

佐々木さんは悲しそうな顔で「美鈴ちゃん……」と呼ぶ。

「……佐々木さん有難うございます。岩下先生や佐々木さんにこんなに気にかけて貰って感謝しています。でも…今は戻る気はありません…もし今、戻ってもまた逃げ出すと思います」と俯いていた。

「そっか…まぁ美鈴ちゃんが男に喧嘩売るほど元気だったって事は岩下に伝えておくよ！」

「もぅ佐々木さん！！」

佐々木さんと私は互いに顔を見て笑う