直線の距離ー偶然の再会ー
「親がね、離婚したんだ。」

「そんなの、話さなくていい!」




俺は思わず声をあげた。

先週の悲しそうな表情の意味を理解した。



「いいの。ひろには全部知ってほしいから。」

「でも…。」



彼女は首を横に振った。そしてそのまま話をし続けた。



「引っ越すって決まってたから言おうとしたんだけど、ひろといると楽しくて話を切り出せなかった。

何度も言えるタイミングはあったのに…恐かったの。

ひろが、離れてくと思った。だから言えないまま引っ越したの。

中学はお母さんの実家から通ってた。でもおばあちゃんち遠くてさ。片道バスで1時間半だよ?大変だったなぁ。

でも学校は友達も出来たし、そこそこ楽しかったよ?ひろたちと学校通いたかったなって思ったりしたけど。


でもお母さんに、そんなこと言えなかった。」

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