Ri.Night Ⅳ


し、死ぬ……!


「彼方、凛音ちゃんが可哀想だってば!」


「むー」


壱さんの有り難いお言葉で渋々身体を離す彼方。


「……はぁー、苦しかった」


やっと解放され、大きく息を吸い込んで乱れた息を正す。



「凛音ちゃん大丈夫?」


「うん、大丈夫」


久々に見る壱さんの笑顔はやっぱりキラキラしていて。


あぁ、落ち着くなぁと思った。





「りっちゃん」


「……彼方?」


さっきとは違い、真剣な声色であたしの名前を呼ぶ彼方。


けど、あたしを見つめる瞳は優しげに揺れている。



「りっちゃん、帰ってきてくれてありがと。やっぱりっちゃんが居ねぇと皆いつもの調子が出ねぇわ」


「彼方……」


困ったように微笑む彼方に泣きそうになった。


ポンポンと頭を撫でてくれるその手は優しくて。


いつものおちゃらけた彼方はどこにもいない。



「彼方、壱さん、今まで本当にごめんね。ありがとう……」


二人に心から謝って、お礼を言う。


小さく頭を下げると、二人は微笑みながら首を横に振ってくれた。



「凛音ちゃんが帰って来てくれて本当に嬉しいよ」


「壱さん……」


「これからはずっと一緒にいようね?」


「……うんっ。壱さんありがと──」


「どさくさに紛れて抱きつこうとしてんじゃねぇよ」


「いだっ……!」



両手を広げて壱さんに抱きつこうとしたあたしを背後から阻止してきた煌。


ちょ……感動の再会なんだから今ぐらい許してよ!


頭頂部に食らったゲンコツが痛すぎて両手で押さえて身悶える。

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