Ri.Night Ⅳ
十夜の背中に回していた腕をするりと離すと、それに気付いたのか、十夜もあたしから身体を離した。
恥ずかしさを隠す為、十夜の視線から逃げるように煌へと目を向ける。
「オイオイ。そんなに睨むなよ。俺は助けてやったんだぜ?」
「助けてやった?」
どういうこと?
呆れた顔でわざとらしく溜め息をついた煌に怪訝な顔でそう聞くと、
「アレだよ、アレ」
煌は親指で後方を指差した。
その方へと視線を滑らせていくと……。
………あぁ、成る程。納得納得。
視界に映るのは貴兄と優音の姿。
さっきと変わらず周りに嵐ちゃん達もいるけど、その嵐ちゃんたちの存在を消してしまう程二人の雰囲気は禍々しいモノだった。
貴兄まで一緒に拗ねてどうすんの。
あからさまに口を尖らせている貴兄はどこからどう見ても拗ねていて。
そんな貴兄を時人くんと慧くんがポンポンと肩を叩いて宥めている。
優音は……うん、可哀想に嵐ちゃんの餌食になっていた。
「お前の兄弟どんだけシスコンなんだよ」
溜め息混じりに苦笑する煌に同じく苦笑しか出来ないあたし。
いや、まぁ、うん、そうだよね。
獅鷹メンバーは昔から知ってるから慣れてるだけで。
普通の人から見ればあのシスコンぶりは異常なんだろう。
ということはブラコンのあたしも異常なんだろうか……。