Ri.Night Ⅳ
「家って凛音の家?」
「……まぁ、そうなるな」
陽の問いかけに貴兄がフッと頬を緩める。
貴兄が笑うのも無理はない。
だって、陽の質問があまりにも可愛らしかったから。
陽くん、貴兄とあたしは兄弟なんだから同じ家なのは当たり前だよ。
思わず心の中でそうツッコむあたし。
っていうか、嵐ちゃん笑いすぎでしょ。
貴兄の斜め後ろにいる嵐ちゃんは顔を伏せ、肩を震わせて必死に笑いを堪えていた。
そんな嵐ちゃんを肘で小突いている時人くん。
まぁ、気持ちは分かるけど。
「貴兄、いいの?」
視線を戻し、控えめにそう問いかける。
だって、貴兄は今まで嵐ちゃん達以外に家を教えようとはしなかった。
それは仲間である獅鷹の下っ端くん達にもだ。
貴兄は慎重派。
自分に関する情報はリスクを最小限に抑える為、必要最低限の事しか教えない。
正体や家は本当に信用出来る人にしか教えないんだ。
それなのに──
「鳳皇はお前の仲間だろう?」
「貴兄……」
「俺からすればそれだけで信用出来る相手だ」
「……ありがとう。ありがとう貴兄」