Ri.Night Ⅳ
「さ、帰ろっか!」
くるりと振り返り、皆に向けて二カッと笑うと、陽が同じように笑い返してくれた。
「凛音、手、繋ごうぜ!」
「うん!」
差し出された手をギュッと強く握り締め、「行こう!」と足を踏み出す。
……と、その時。
「りっちゃんー、俺も手繋ぎてぇなー」
左横にいた彼方がトントンと肩を叩いてきた。
振り向くと、彼方は機嫌を窺うかのような表情であたしを見下ろしていて。
そのままスッと視線を落せば、胸元には握りしめられた両手があった。
しかもその手は左右に小さく揺れている。
「駄目?」
控え目なその言葉とは裏腹に、あたしを見る瞳はこれでもかって言うぐらい煌めいていて。
「んー、駄目」
けれど、そこはあたし。簡単には頷きません。
「やっぱ駄目かぁ……」
……と言いたいところだけど。
「ん」
今回だけは特別に素直になろうかな。
「……へ?」
差し出された左手を見てきょとんとする彼方。
「何?手、繋ぐんじゃないの?」
その馬鹿面にそう言って、呆れたように首を傾げてみせると、
「り、りっちゃぁぁぁぁん!!」
「ちょ、ちょっと手繋ぐんじゃないの!?抱き着いていいなんて一言も言ってないけど!」
目を輝かせた彼方に思いっきり飛びつかれた。