Ri.Night Ⅳ
工場を出ると、まず視界に飛び込んできたのは地面に転がっている男達と汚いバット、それと木材だった。
地面をよく見ると血らしきものが点々としていて。
声や音を聞いた限りではもっと人数が多いように思ったけどそうでもなかったらしい。
「奴等、仲間を放って行きやがったのか」
……え?
転がっている男達の間を縫うように歩いていく煌が男達を見て小さくそう呟いた。
その言葉にそうか、と頷く。
転がっている人が少ないのは逃げたからだ。
奴等は仲間を仲間を見捨てて逃げたんだ。
なんて最低な奴等。
「……あ」
ちょうど転がっている男達の間から抜け出した時、ふとある事を思い出した。
「りっちゃん、どうかした?」
「車、みんな揃ってたらあたし乗るとこないよね」
そう車。
あの車は確か五人乗りだった。
いつもは陽と彼方、どちらかがバイクに乗ってたから乗れてたけど、流石に今日はバイクで来ていないだろう。
「大丈夫!今日はワゴンで来たから」
「へ?ワゴン?」
彼方がしてやったり顔でそう言うと、
「ちょっと此処で待っててね」
突然壱さんが走り出した。
その背中はすぐに見えなくなってしまう。