Ri.Night Ⅳ
「……あ、来た」
見えなくなって数分後、角から一台のワゴン車が顔を出した。
「でっかーい!」
姿を表したワゴン車は思わず声を上げてしまうほどの大きさ。
「知り合いに聞いたらこれしかなかったんだ」
彼方が後部座席のドアを横に引き、先に乗り込む。
「そうなの?あたしこんな大きい車バス以外で乗った事ないから嬉しい!」
声を弾ませてそう言うと、先に乗った陽が手を差し出してくれた。
その手を掴み、車に乗り込む。
運転手は壱さん、助手席は煌。
二列目に陽と彼方で、一番後ろにあたしと十夜。
みんな揃って車に乗るなんて今までなかったから凄く嬉しい。
「凛音、お前此処から家までの道のり分かるのか?」
「えっ、道のり!?分かんないよ!」
座席に腰を下ろした途端そう聞かれ、慌てて首を振った。
道なんて分かる訳ない。
だって、あたしタクシーで尾行してきたんだもん。
道なんて覚えてる訳ないじゃん。
「凛音ちゃん大丈夫だよ、ナビあるから」
オロオロしているあたしに壱さんがバックミラー越しに教えてくれた。
「ナビあるの?良かったー」
それを聞いてホッと胸を無で下ろす。
もう煌の馬鹿、ビビらせないでよね。