Ri.Night Ⅳ
「陽……!!」
階段を降りてきた三人が陽の元に駆け寄った。
「……チッ、行くぞ」
「彼方、壱!」
「分かった!」
逃げようとするDを見て、煌が彼方と壱に目配せをする。
それに頷いた二人は陽の横を通り過ぎ、Dを追いかけた。
Dは二人に任せ、煌は追いかけようとする陽の首根っこをガシッと掴む。
「こんの馬鹿猿!危ねぇ事すんな!」
「い゙でっ!ごめんってば!」
煌のゲンコツが陽の頭頂部にヒット。
「……ったく、次したら十夜に言いつけんぞ」
「え゙、それはヤダッ!」
「なら次はすんな」
「……はーい」
「ホラ、行くぞ。奴等を仕留める」
「アイアイサー!」
右手拳を高く突き上げた陽を見て、「ホントに分かってんのかよ……」と深い溜め息を吐き出す煌。
「……チッ、アイツ等速すぎんだろ」
一方、Dを追いかけている壱と彼方は、一向に縮まらない距離に苛立ちを感じ始めていた。
このままでは逃げられてしまう。
そう思った時、彼方は廊下に置いてある棚で“ある物”を見つけた。
それは機械の部品らしきもの。
「壱!」
彼方はそれを数個手に取ると、一つ壱に投げ渡した。
「OK!」
それを受け取った壱はすぐに構え、Dに向かって投げる。
「──ッ!」
壱の投げた部品は一番後ろの男の足首に直撃し、男はバランスを崩してその場に倒れた。
彼方も同様、逃げていく二人に向かって部品を投げる。
それも見事男の足首に命中。
「さっすが俺!」
前屈みに倒れていく男を見て彼方は思わずガッツポーズ。
二人は直ぐ様男達に駆け寄り、その身体を起こした。
「………クッ」
だが、それは男の罠で。彼方が掴みかかるのと同時に男の膝が彼方の腹部にめり込んだ。