Ri.Night Ⅳ
けど、仲良くするつもりはない。
今回のようにリンチに合っているのを見れば絶対助ける。
けど、それだけ。
それ以上は踏み込まない。
“踏み込んじゃいけない”
あたしは鳳皇を、
十夜を選んだのだから。
だから──
「……バイバイ」
こう言うしかないんだ。
中田はあたしの心情を分かっているんだろう。
だから何も言わずに微笑んだ。
そうだよね?中田。
「おじさん、お願いします」
「あぁ、任せといて。あ、嬢ちゃん!タクシー使う時はさっきの番号に電話して。いつでも飛んでいくから」
「はい!ありがとうおじさん!」
最後まで優しいおじさんは垂れた目尻を更に下げ、満面の笑みで笑ってくれた。
ゆっくりと閉まっていく窓。
それと同時に車が動き出す。
「りっちゃん、帰ろっか」
「うん!」
ポンッと頭に乗せられた手は温かくて。
けど、それ以上に皆の笑顔の方が暖かかった。
もう邪魔する者はいない。
今度こそ皆と一緒に帰れる。
そう、思った時。
「桐谷!!」
突然、後方から叫び声がした。
その声に全員立ち止まり、振り返る。