Ri.Night Ⅳ

陽、それ嵐ちゃんには禁句だから!


でも。


「やっぱ誰が見ても富士山に見えるよねーその髪型!」


何回見ても笑えるんだな、これが。



「テメェ、このまま潰してやろうか!」


「ギャー!ギブギブギブ!」


より一層重くなった腕の重みにベシベシと腕を叩く。

けど、いくら叩いても重みは増すばかりで一向に軽くならない。


ちょ、ホント首折れるから!


「嵐ちゃん!ホント──」


「イテッ!分かった!分かったから咬むな!」


「降参!降参!」と嵐ちゃんの腕を連打していると、思わぬ救世主が現れて腕が解かれた。


「ハァ……」


首の締め付けがなくなって、安堵の溜め息が出る。


「痛いっつーの!」


一息ついている間も嵐ちゃんは悲痛な声を上げていて。なんだなんだと振り返ってみれば。


「ジュニア!?」


なんと、嵐ちゃんの肩にはジュニアがいた。


しかも、嵐ちゃんの肩を小さな口で何度も何度も咬んでいる。


「ジュニア、よくやった!」


思わず握り拳を作るあたし。


すると、噛むのをやめたジュニアがピョンとあたしの肩に飛び乗ってきた。


そして、頭をあたしの頬に擦り擦り。


「凛音、超懐かれてるんだな!」


それを見た陽がキラキラと瞳を輝かせる。

< 188 / 476 >

この作品をシェア

pagetop