Ri.Night Ⅳ
──貴兄、
どうして中田に協力したの──?
心中で零れる疑問の言葉。
何度も何度も頭の中で反芻される貴兄の言葉に、少しずつ思考が狂わされていく。
貴兄、どうして……?
声には出せない想い。
いや、出せないんじゃない。出ないんだ。
今起きている現状が非現実的に思えて、とてもじゃないけど言葉にならない。
見開かれた視界に映る光景は確かに今行われている筈なのに、何処か遠くの方に感じて。
まるで膜が張ったかの様にボヤけて聞こえていた。
だけど、視界だけは鮮明すぎる程鮮明に三人を映し出している。
小刻みに震える唇へそっと指先を添える。
足に力が入らない。
まるで自分のモノではない様な感覚に陥って。
確かに震えている筈なのに、その感覚が全くと言っていい程感じられなかった。
「時間は?」
「……奴等が来れば連絡が入る」
けれど、聴覚と視覚だけはハッキリしていた。
“奴等が来れば連絡が入る?”
奴等、って?
奴等って誰?
まさか、
まさか──
「──鳳皇は強い。外にいる奴等を中へ入れて鳳皇にぶつけろ」
まさ、か……。
貴兄の言葉が鋭い矢となって脳に突き刺さる。
「外には獅鷹もいる。そんなにいらないだろう?それに何かあれば奴等もいるんだ」
「………」
「外は足りてる。だから中を増やせ。中には鳳皇幹部が揃ってるんだ。数は多い方がいいだろう?」