Ri.Night Ⅳ
素頓狂な声を上げた当事者達は一斉に声がした方へと振り返る。
視線の先には……。
「ククク……」
口元を押さえ、肩を震わせて笑っている貴音の姿があった。
「貴兄……?」
当事者達には貴音が何故笑っているのかさっぱり理解出来ない。
「ククク……あー、ヤベェ。ツボるわー」
若干涙目になっている貴音はおもむろに顔を上げると、十夜を見てまたプッと吹き出した。
「………」
「そんなに睨むなよ、桐谷」
「え、十夜?」
貴音の言葉で全員が十夜を見る。
「何でそんな顔恐いの?」
凛音の言葉通り、十夜の表情はかなり険しかった。
そしてオーラがコワイ。
眉間の深い縦皺が十夜の不機嫌さを物語っている。
「ちょ……、俺は何もしてないからな!?引っ越し手伝った時にちょっと見ただけだ!」
鋭い視線を向けられた遊大は即座に否定。
その慌てぶりは尋常ではなかった。
手だけではなく、同時に頭まで激しく左右に振っている。
「桐谷、お前ってそんな面白キャラだったっけ?案外人間らしいとこもあるんだな」
「……うるせぇ」
「……プッ」
「………」
「悪ぃ悪ぃ。そんな怒んなって」
更に深く刻まれる十夜の眉間の皺。
それを見て貴音は焦り混じりに笑い、謝罪する。
これ以上弄ると今後に差し支えると思ったからだ。