Ri.Night Ⅳ
最後の言葉は十夜の温もりに吸い込まれていった。
額から伝わる十夜の温もり。
その温もりを感じた時、漸く自分が十夜に抱き寄せられたのだと理解した。
「……っ、十夜……」
鼻先を掠める十夜の香水の香り。
大好きな香り。
この香りに包まれるだけで心が落ち着いていく。
だけど、同時に泣きたくもなる。
あたしはこの香りに包まれた後、何度も“別れ”を経験した。
何度も何度も。
その度辛かった。哀しかった。
もう、あんな思いは二度としたくない。
だから、もう離れないように。
ううん、離さないように、十夜の服をギュッと強く握り締めた。
「十夜、大好き……」
「……っ」
そう小さく呟くと、後頭部を覆う十夜の手にグッと力が籠った。
「──ハッ。すっげぇ破壊力」