Ri.Night Ⅳ

「……え?」


不意に頭上から落ちてきた声。


それは絞り出したような声で。


「十夜?」


破壊力って?


「見んな」

「……なんで?」

「いいから」


顔を上げようとすると、後頭部を覆っていた手に無理矢理阻止された。


グッと頭を腹部に押し付けられ、更に密着度が高まる。


「く、苦し……」

「もう一回」

「……っ」


突然後頭部に感じた感触。


「凛音……」


それはつい今まで頭を覆っていた手ではなく、もっとリアルなもの。


「もう一回聞きたい」


「……もう、一回?」


何を?なんて聞かなくても分かっていた。


十夜はもう一回“好き”って言って欲しいと言ってるんだ。


そんなの……。


「……無理」

「なんで」

「………」

「凛音」

「………っ」


後頭部にあった温もりがゆっくりと移動して、静かに、けれど魅惑的に耳元で囁く。


「聞きたい」


十夜が小さく囁く度触れる熱い吐息。

その熱に身体が震える。


「好き……」


十夜の声を聞いて抗える訳なんかない。


十夜はきっと知っててやってる。


あたしが十夜の声に弱いこと。


そして、大好きなこと。
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