Ri.Night Ⅳ

まさか言おうとしていた事を十夜に言われるなんて思ってもなくて、返事を返すタイミングを逃してしまった。


目を開いて口をつぐむあたしを見て十夜が「……返事は?」と少し不機嫌さを漂わせる。



「離れないよ。だから十夜も離れないで」


「俺は離れない」


「……絶対?」


「絶対」


「……ちょ、十夜くすぐったい!」



まるで誓いを立てるように十夜があたしの顔全体にキスを落とす。


そのキスに羞恥が募り身を捩らせて逃れようとするけれど、腰をガッチリと固定されていて動く事が出来ない。



「お前も“絶対離れない”と誓え」


「ち、誓うからちょっと離れて……」


「じゃあ言え」


「……離れない。十夜から絶対離れないから」



半ば無理矢理言わされたような気がするけど。


でも、それはあたしの正直な気持ちだった。


あたしはもう十夜から離れない。

ううん、離れられない。


離れてみて分かったから。


十夜がどれだけ大切か。

どれだけ十夜が大好きなのか。


離れてみて十分過ぎる程分かったから。


だからもう絶対に十夜から離れない。

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